近年のITの発展はめざましく、企業活動においてもIT化やDX化は欠かせないものとなっています。

日々多くのサービスやアプリケーションが開発され、便利そうなものを次から次へと利用しているうちに管理が複雑になってしまうというのはよくある話だと思います。

そこで本記事では、複数のサービスやアプリケーションの管理が自動でできるKubernetesというオープンソースシステムについて解説していきます。

使いどころやメリットなどについても詳しく紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

Kubernetesとは何か?

Kubernetesとは何か?

Kubernetesとは、コンテナ化されたアプリケーションやプログラムを自動で管理・デプロイすることができるオープンソースシステムの名称です。

「クバネティス」または「クーベネティス」と読み、ギリシャ語で「操舵手」「パイロット」といった意味を表します。

Kubernetesは、元々Google社内で仮想サーバーのオーケストレーションに使われていたBorgというシステムをベースにしており、現在はCloud Native Computing Foundation(CNCF)が管理・メンテナンスをおこなっています。

元々企業内で長年使われていたシステムを基盤としていることから実績があり、ユーザーの要求にも素早く対応できた点などからコンテナ管理・自動化システムとして徐々に普及していきました。

コンテナとは?

Kubernetesを解説する上で「コンテナ」という言葉が出てきますが、これはアプリケーションの開発・動作環境を仮想構築したパッケージのことを指します。

さまざまなアプリケーションを動かすために必要なものをひとまとめにできる仕組みのことで、「コンテナ型仮想化」と呼ばれることもあります。

コンテナ化することのメリットとしては、CPU、メモリ、ストレージ、ネットワークなどの各種リソースを仮想化できる点が挙げられます。

しかしOS周辺のシステムは共有しているため、アプリケーションやプログラムの開発段階においてOS環境そのものから構築する必要がないことがメリットとして挙げられます。

近年ではクラウド環境でのコンテナ利用も増えており、注目される技術となっています。

Kubernetesは、パッケージ化された複数のコンテナを一括で管理できる仕組みのことを指します。

また、様々なプラットフォームを活用することで、さらにできることが増えます。有名なツールとして、Sysdigなどがあり、これはコンテナとKubernetes環境向けのセキュリティとモニタリングができるものです。

仮想化技術とコンテナの違いは?

コンテナとよく似たものとしてサーバー仮想化技術がありますが、この2つの違いはどのようなものなのでしょうか?

大きな違いとして挙げられるのは、仮想化技術は独立したOS上でアプリケーションなどを実行するという点です。

異なるOSを同時に実行できるというメリットもありますが、コンテナに比べて構築が複雑で時間がかかるというデメリットがあります。

また、仮想化技術はそれぞれ独自のOSで動くため、容量が大きく起動も遅くなりがちです。

一方、コンテナは複数のアプリケーションを同じOS上で隔離して実行するため、容量が軽量になり起動も素早くおこなうことができます。

Kubernetesの使いどころとは?

Kubernetesはコンテナを管理、制御するためにとても有効なツールです。

主に、次のようなシーンで活用することができます。

複数コンテナの一括管理、監視

Kubernetesを活用することで、動作しているアプリケーションの状況をリアルタイムで管理、監視できます。

どのコンテナがどのくらい稼働しているのかといった詳細まで一括で管理でき、監視・保守担当者の業務効率化にもつながります。

また、障害や問題が発生した際にも原因の特定が容易になるため、素早く適切な対応を取ることができます。

アプリケーションのデプロイ、更新の自動化

Kubernetesを使えば、アプリケーションのデプロイメント、更新などの作業を自動化できます。手動での作業に比べて煩雑な作業を大幅に削減できるためミスも減らせます。

また、作業担当者の負担軽減、業務の効率化にもつながるでしょう。

Kubernetesを活用することでローリングアップデート(複数のコンピュータで構成されたシステムを更新する際に、一台ずつ順番にアップデートしていくこと)も可能になるため、システムの停止を最小限に抑えながらアップデート作業ができます。

負荷の平準化

Kubernetesは各コンテナのアプリケーションの稼働状況をリアルタイムで監視しており、各コンテナへバランスよく負荷がかかるように調整する昨日があります。

たとえば特定のコンテナに過剰に負荷がかかるような状況になれば、自動的に他のコンテナに負荷を分散させます。

これによって、アプリケーションの稼働が安定したものになり、システム障害や不具合を最小限に抑えられます。

コンテナの自動復旧

Kubernetesには、コンテナに不具合や障害が生じた際に自動復旧する機能が備わっています。

最初に設定しておくことで、処理がエラーになった際に他のコンテナに置き換えて処理を続行するといったことも可能になります。

自動復旧機能が備わっていることでアプリケーションやプログラムの安定した稼働が可能になり、保守担当者の負担も軽減できます。

セキュリティ管理

Kubernetesにはセキュリティ管理機能も備わっています。機密データの保存や管理なども可能で、パスワードなどの機密情報も適切に保存、管理されます。

近年では企業からの顧客データ流出といったニュースも大きな話題となり、企業活動においてセキュリティ管理は大きな課題となっています。

Kubernetesを活用することで、システム内のセキュリティ管理もしっかりとおこなうことができるでしょう。

Kubernetesを使うメリット

Kubernetesを使うメリット

続いて、kubernetesを活用してコンテナを管理するメリットについて紹介します。

軽量のため起動が速い

Kubernetesは共通のOS上にある複数コンテナを管理するシステムのため、仮想化にくらべてリソースが軽量になり、高速な起動が可能になります。

OSから構築する仮想化技術に比べてリソースをそれほど必要としないため、少ないリソース消費で効率的にアプリケーションを動かすことができます。

システム障害に強い

Kubernetesにはシステムの不具合や障害を自動で復旧する機能が備わっているため、障害に強い環境を構築することができます。

たとえば特定のコンテナに障害が発生した際は、再起動や他のコンテナに入れ替えるといったことを自動でおこなって不具合を修復します。

このような自動復旧機能があることで、安定的なアプリケーションの稼働に役立つとともに、保守担当者の負担軽減にもつながります。

複数コンテナ間の連携が容易

各コンテナはそれぞれデータやログを保持していて、それらは複数コンテナ間で共有することもできます。

これによってコンテナ間の連携が簡単にできるだけでなく、一つのコンテナが不具合や障害で稼働できなくなってしまった場合には、そのコンテナのデータを用いて別コンテナを稼働させるといったことも可能になります。

まとめ

本記事では、複数コンテナを一括で管理・監視できるオープンソースシステム「Kubernetes」について、概要と活用方法、Kubernetesを使うメリットなどについて詳しく解説しました。

Kubernetesは元々Google社内でのコンテナ管理に使われていたシステムということもあって、実績がありセキュリティ管理などもしっかりされています。

また、Kubernetesはシステム障害や不具合にも強いため、保守担当者の業務負荷の軽減にも役立ちます。

Kubernetesに備わった自動更新や復旧、負荷分散などの機能を活用することで、アプリケーションやプログラムの稼働がより安定したものになるでしょう。